つくった話 / まほうじん
答えを教えない魔方陣を、配信まで連れていった話
合計は、自分で見つけてもらう。そんな3×3の魔方陣パズルをつくりました。決めたこと、つまずいたこと、審査で却下されてから公開までの話を書いてみます。
はじまりは、教材の3×3
出発点は、教材に載っていた3×3の魔方陣です。たて・よこ・ななめ、どこを足しても同じ数になる、あのパズルですね。これを自分のペースで解けるアプリにしたかったんです。ひらがな中心の画面、大きなテンキー、通信なしで動く作り。このあたりは、先に出していた計算カードのアプリにならっています。
最初の形は、別の開発スタッフに作ってもらいました。そこから磨き込みの案を探すため、スタッフの役割を4つに分けて見直してもらったんです。すると、提出前に直すべき不具合が5件も出てきました。
合計は、最初から見せない
いちばん大きな決めごとは、目標の合計を最初から見せないことでした。「ふつう」と「チャレンジ」では、数字が3つそろった列を探して足し、合計を自分で見つけるところから始まります。最初の「はじめて」だけは合計を表示します。対象年齢の目安は、ストアでは6歳〜8歳ごろとしています。
詰まったときのヒントは3段階です。1回目は、注目する列を枠で示すだけ。2回目で「7 + □ + 3 = 15」のような式を出して、3回目でやっと答え。まちがえたときも、正解は並べません。見直すマスを1つ選んで、周りの正しい数字だけで作った式を示します。
はじめて開いたときは、7段階の練習が自動で開きます。実はこれ、あとから足したものなんですよね。私が確かめてみると、練習はあるのに自動では開かないし、スマホの触覚も入っていませんでした。そこで両方を足しました。
押せない0キーと、15ばかりの合計
ある日触っていて、0が入力できず解けない問題に出くわしました。スタッフに調べてもらうと、0を使わない問題で0キーを押せなくしていただけ。でも、押せないキーって「この問題は解けない」と伝わってしまうんです。0キーは押せるように戻して、押したら理由を返す形にしました。
1〜9でできる魔方陣は、向き違いの8通りしかありません。これでは足りないので、「ふつう」と「チャレンジ」は中央の数と2つの差から作る一般形にしました。盤面は208種と2,024種に。合計の範囲も難度ごとに分けて、重ならないようにしています。
その後、気になったことがあります。合計が15ばかりだと、練習にならないのでは? 数えてもらうと、「はじめて」は8種・合計15の1通りだけでした。そこで最初の3問は合計15のまま、4問目から合計15〜30の盤面を出すようにしました。
測って直したこともあります。合計を見つけるための列が「ななめ」だけの盤面が、4,000件中1,121件(28%)。今は、たてかよこに必ず置いています。
正直、自分たちの確認にも誤りがありました。画面の検証スクリプトが、打ち方の都合で何も実行しないまま「成功」で終わっていたんです。本当に走らせ直すと、16本のうち通ったのは6本。直したあとは16本すべてが通り、今は1本でも落ちれば止まる仕組みにしています。
却下に、返信で答える
2026年9月13日に提出して、17日にガイドライン4.3(a)(似たアプリの量産)で却下されました。今回の文面には、自分のアプリとの類似と、提出をくり返すと審査が長くなるという警告が加わっていました。直さないまま出し直すのは危ない。そう判断して、私は再提出しない道を選びました。
かわりに、審査チームへ返信しました。合計を自分で見つける流れ、3段階のヒント、盤面の数などを説明して、どこが似ていると見られたのかを尋ねたんです。書いた内容は、送る前にコードとテストで確かめています。そして19日に承認され、配信開始。まほうじん、いけました!
配信直後の、実機の洗礼
ところが配信の直後、実機で触ってみたら不具合が出ました。最初の説明の2枚目で数字が入力できず、先に進めない。あと、音が出ない。前者は、数字は入っているのに、スマホの画面では表示欄を潰していたのが原因でした。後者は、マナーモードでも鳴らすための端末側の設定が、このアプリだけ抜けていたためです。
同じ型の問題がほかにもないか、スタッフに徹底的に探してもらいました。見つかったのは、さらに8件。これも直して実機で確かめると、マナーモードでもちゃんと鳴りました。修正版の1.0.1は、9月21日に公開しています。
アプリをつくりたい人へ、5つのメモ
- 押せないボタンは、使う人には故障に見えます。無効にするより、押したら理由を返すほうが伝わります。
- 「テストが通った」の前に、「テストが本当に走ったか」を確かめてください。
- 音や画面の寸法の不具合には、実機でしか見えないものがあります。配信の前に、実機で一通り触ってみてください。
- 練習と本番の条件はそろえてください。この開発では、練習のほうが本番より難しい逆転が起きていました。
- 却下されても、すぐ出し直すとは限りません。根拠を確かめたうえで返信する道もあります。
この記事は、開発中の記録をもとに書いています。開発スタッフには AI のツールも含みます。