つくった話 / 深淵真円
三角形は34点。真円を採点するゲームの話
指で一周、円を描いて点がつくだけのゲームです。同じ遊びがすでに約40本ある中で、絵より先に採点をつくり、測っては直した記録です。
はじまりは、深夜のひとこと
2026年9月30日の夜。新しい深淵シリーズとして、広告つきで、真円をきれいに描くと点が出るゲームの最新版をつくれないか。私はそんな検討を始めました。遊びの形は、この時点でほぼ決まっていたんですよね。指で一周、円を描く。真円に近いほど点が高い。それだけです。
検討は、市場調査・自社アプリとの比較・ゲームの設計・採点の計算の4つに分けて、開発スタッフに進めてもらいました。その報告を読んでいる途中で、話がもう一つ広がります。ゲームサイトを立ち上げて、今までのアプリもそこで遊べるようにしよう、と。実はこのサイト、そんな会話から生まれたんです。深淵真円は、ここに載る1本目のゲームです。
まずは数えてみた
App Store の日本とアメリカで、円を描いて採点する遊びは約40本ありました。そのうち28本は2026年に初めて公開されたもので、23本は評価が0件。低評価を読んでみると、ほとんどが採点のずれなんですよね。四角を描いても点が上がる、という声です。数は多いけれど、抜け出た1本はない。だったら差をつけるのは採点の納得感だ、と決めました。
次に、自分のアプリと並べてみました。同じシリーズの深淵九連とは、数秒で終わる・自己ベスト・称号・広告・暗い画面が重なります。過去には、遊びは違うのに画面と文面が同じだったアプリが、審査で却下されたこともありました。なので、見える部分は写さない。九連の青緑はやめて、琥珀から金の色に。線が指の後ろから消えていくモードも、九連の構造の写しになるので外しました。
採点の方針はひとつだけ。形の悪さだけを点にします。速さや描いた位置は点に入れず、別に表示します。会議の結論は、今はアプリにせず、まずWeb版をつくって、描いた環の画像が人に送られるかを見る、でした。外部から聞いた2つの意見も、この点では一致していました。
測ったら、見立てが崩れた
最初につくったのは、画面ではなく採点です。ここ、けっこう大事で。真円・手の震え・楕円・三角形・四角形・螺旋、それに60Hzと240Hzの端末の差など、作った図形24通りをテストにしました。真円は100点。0.6pxの震えで97.5点。縦横比1.02の楕円で95.5点、1.10で77点。正方形は約60点、正六角形は74点。そして正三角形は、まさかの34点でした。同じ手なら、端末による差は0.3点以内に収めています。
測ってみると、事前の見立ては何か所も変わりました。三角形は約69点の見込みが、実際は34点。線をならす幅は5度の予定でしたが、端末によって2点ずれたので9度に。閉じ忘れは3%から減点するつもりが、355度まで描いたきれいな弧が91点になってしまったので、5%からに緩めて95.5点にしました。曲がる向きの反転は、わずかなぶれでも反応して全員に0.5点ずつ加わっていたので、採点から外しています。
正直、いちばん困ったのは線が戻ったかどうかの判定でした。指が触れた瞬間と離す瞬間の小さな戻りを、逆走と数えていたんです。そこで始めと終わりの12度を除いたら、今度は350度まで描いて100度戻る線を見逃す、とレビューで指摘されます。結局、除くのは最後まで戻りきらなかった12度以内だけに絞りました。
テスト用のWeb版を触ってみて、私は評価画面をタブなどで一画面に収めて、できるだけすぐ次のゲームのボタンを押せるようにしたい、と思いました。そこで結果画面は、描いた環と点数を中心に絞りました。細かい分析はタブに分け、『もう一度、描く』のボタンを常に画面内に置いています。最終的に、自動のテストは68件、ブラウザでの操作確認は40項目になりました。
Web版のはずが、アプリへ
会議の結論はまずWeb版でした。けれど翌朝、私はアプリ公開に向けて進めると決めます。実機で確かめたうえで、いま審査待ちなのはてんてん図形だけ。雰囲気の違う深淵真円ならいけると思うし、2本ですし。そう考えて、10月1日に審査へ出しました。この記録の時点では、まだ結果を待っています。
まだ確かめていないことも残っています。採点の式は作った図形で合わせただけで、実機で100本描いて合わせ直す作業がこれからです。称号の境目の点数も仮の値です。人の指で99点台に届くかも、実機ではまだ測っていません。Web版で環の画像が人に送られるかは、公開後2〜4週間見る予定です。
アプリをつくってみたい人へ
- 同じ遊びがたくさんあるときは、低評価の中身を読んでみてください。今回は採点がおかしいという声がほとんどで、そこが差をつける場所になりました。
- 見た目より先に、判定の部分をつくります。楕円・三角形・端末の差を、作った図形のテストにしておくと、直すたびに確かめられます。
- 見立ての数字は、測ると変わります。三角形は69点の見込みが34点でした。数字は測ってから決めるのがおすすめです。
- 自分の既存アプリと並べて、色・画面・言葉の違いを表にしてからつくります。似ている部分は、つくる前に外せます。
- 会議の結論と、作り手の最終判断は違うことがあります。違ったときは、残る確認事項を書き出しておくと安心です。
この記事は、開発中の記録をもとに書いています。開発スタッフには AI のツールも含みます。