つくった話 / 深淵九連
1から9を押すだけ、を深くしてみた話
3×3の数字を順に押すだけのタイムアタック「深淵九連」。単純なルールに、区間の比較や深層モード、音と光を重ねていった二日間の記録です。まだ公開前です。
はじまりは「1から9を押す速さ」
1から9を押す速さを競うゲームを作りたい。始まりは、そんなシンプルな思いつきでした。土台にしたのは、同じ深淵シリーズの放置ゲーム「深淵神経」の爽快感と、私の別のアプリ「いっこふえた」で作った広告まわりです。
とはいえ、数字を順に押すゲームはもうあるんですよね。企画シートにも、同じ遊びのアプリが実在していて、1〜9・タイマー・音・触覚は既存だと正直に書きました。じゃあどこで差を出すか。自作の光と上昇音と触覚、そして1→9の「8区間の振り返り」です。人気や収益性は未検証なので、まず試作して確かめる進め方にしました。
ここで気になったのが、計測の「世界基準」。開発スタッフに調べてもらうと、統一された規格は確認できませんでした。1を押した時点から測るもの、開始ボタンから測るものと、方式がばらばらなんです。そこで深淵九連は「1に触れてから9に触れるまで」を測り、開始前に盤面を見られることを明記しました。世界記録という言い方もしません。
記録の取り方を先に決める
最初に固めたのは計測の芯です。記録は、1と9に触れた入力の時刻の差。光や音を描く前に時刻を確定させるので、演出が記録に影響しません。誤タップしても時間は進みます。同時押しやアプリの切り替えがあると、その回は中止。表示は小数3桁ですが、1ミリ秒の正確さは保証しないと説明に書いています。
速いほど、必殺技のように
次のテーマは、速いほど光が派手になる「必殺技」感。称号も、超越者みたいなレベルやSSSまで幅広くしたい。そこで直近3区間の平均で、光と倍音と粒子を4段階に変えることにしました。境目は650・420・260ミリ秒で、あくまで演出のための調整値です。数字の位置と押す場所は変えず、強めるのはつないだマスと線、画面の縁だけ。成長はLv99まで、DからΩまで11の称号を用意しました。
翌日は、特殊効果や音、ゲーム性まわりのブラッシュアップを開発スタッフに頼みました。音には残響と音割れ防止を加え、押したマスの列で左右に振り分け。環境音は、連鎖の段階が上がるほど開いていきます。線は1区間ずつ描かれ、9では衝撃波が広がります。2タップ目からは、自己ベストの同じ区間との差を緑(先行)と赤(遅れ)で表示。完走ごとの「証」と、今日の九連の連続日数も足しました。ここ、けっこう大事で、これらは表示だけです。計測・自己ベスト判定・経験値には入れず、計測の仕組みと保存形式も変えていません。
さらに「深層」モードも加えました。1つ正しく押すたびに、まだ押していない数字の並びが入れ替わります。配置を覚えられないので、毎回探して押すことになるんです。ただし、マスの位置、つまり押す場所は動きません。入れ替えは時刻を確定した後で、記録も別に保存します。結果画面の8区間は、自己ベストより速い区間を緑、遅い区間を赤で塗り分けました。
盤面が30pxずれていた
内部テスト版を実機で遊んでいて、途中で「PB -0.109」が出た瞬間に盤面ごと下にずれる。これは操作しづらい。スタッフに調べてもらうと、差の表示が出るたびに行が増え、盤面が約30px下がっていました。それまでの確認は画面の見た目だけで、盤面の位置は測っていなかったんです。ラベルの切り替えによる3pxのずれも、実は初版からありました。
直し方は、表示を固定の高さの枠に重ねること。あわせて「プレイ中に盤面が動かない」検査を足し、修正前は失敗、修正後は合格することを確かめました。
検査そのものも試しています。計測の終わりの時刻をわざと別の時刻に差し替えたコピーでは、計測のテスト26件中10件が失敗。検査がちゃんと退行を拾えると分かりました。自動テストは初版の70件から、深層モードを足した時点で93件、公開準備の後は96件になりました。
確かめられなかったことも書いておく
正直に書くと、音は耳で聞いて確かめておらず、音の部品が作られるかを数えただけです。証の境界や深層の難しさも、まだ仮の値。アイコンは開発スタッフに描いてもらいましたが、使われたモデル名を画面で確認できませんでした。私はその点を承知で採用し、特定のモデルで作ったとは書かないことにしています。
名前は、パズルかな?と分かるサブタイトルがあった方がいいかも、と私が思ったところから検討しました。決まった公開名は「深淵九連 - 数字タップ」。「パズル」は、解く要素のないタイムアタックと中身が食い違うので採りませんでした。
いま、そしてこれから
深淵九連は、まだ公開していません。内部テスト用のビルドは5回目まで配り、ストア向けの文面と画像の登録も済ませましたが、審査には出していません。実機での確認が残っていることと、ほかのアプリの審査中は新しいアプリを出さない、という決まりがあるためです。公開日は決まっておらず、このサイトのWeb版も準備中です。
残っているのは、実機での入力・音量・触覚の確認、音のバランスの調整、試遊による証の境界と深層の難しさの調整。ちなみに九連の外枠(広告・保存・設定まわり)は、深淵シリーズの次の試作にそのまま流用されました。
アプリをつくりたい人へ
- 単純なルールは、測る単位を細かくすると深みが出ます。今回は合計タイムを8区間に分け、自己ベストの同じ区間と比べられるようにしました。
- 記録を先に確定し、演出は後にします。区間差や証のような表示用の値は、記録と混ぜません。
- 押す位置が大事なゲームでは、出し入れする表示の枠を先に確保し、押す対象の位置を数値で測ります。見た目の確認だけでは、約30pxのずれを見逃しました。
- 検査が本当に効くかは、わざと壊したコピーで確かめます。
- 作業を引き継ぐときは、変えない部分を決めて記録します。確認できなかったことは、確認できなかったと書きます。
この記事は、開発中の記録をもとに書いています。開発スタッフには AI のツールも含みます。